オウンドメディアを「トリプルメディア」という言葉を使って説明するのは、そろそろ止めませんか

オウンドメディアを「トリプルメディア」という言葉を使って説明するのは、そろそろ止めませんか

「江戸しぐさ」問題とネット上の情報リテラシー

「江戸しぐさ」というものを知っていますか。私は、ACジャパンのCMで見た記憶があります。そのときは、単純に、「ああ、こういう日常の文化があるのか。江戸時代の日本人も、こういう道徳意識があったんだなぁ」くらいに感じていました。

そして、道徳の教科書にも載るようになるのですが、その「江戸しぐさ」は、どうやら、近年になって創作されたファンタジーだったらしいのです。

「江戸しぐさ問題」について、詳しく知らない人は、次のサイトを読んでみてください。特に、社会心理学者の碓井先生がこの問題について、的確に批評されていらっしゃいます。

参考サイト

さまざまな人が情報発信をしている時代ですが、特に他人の創作物などを元ネタとして情報を発信する前には、「一度立ち止まって疑うクセ」を身につけるべきですね。

みんな、都市伝説やフェイクニュースが大好き!

信じるか信じないかはあなた次第ですテレビ東京系で都市伝説をテーマにした人気番組があります。関暁夫という芸人さんは、特に、普通のことを、大げさに「陰謀だ!」と言い、最後は「信じるか信じないかは、あなた次第です」という責任逃れのフレーズで終わっています。

私などは、見ている方が赤面するほど低レベルなことを、さも事実のように真剣にはしゃいでいる関さんを見たくて、ときどきチャンネルを合わせています。もちろん、バラエティー番組ですから、真剣にツッコミを入れているわけではありません。

ですが、世の中には、きっと番組制作者の想像以上に情報リテラシーが低い人が多いようです。

現に、私の友人など、番組を見た影響で、「アメリカの大企業が私たちを支配しようとしている」「人工知能が攻撃してくる」「ロボットが人間を選別する時代が来る」と信じており、その番組を見た後の数日間で白髪が増えたそうです。

「人工知能=怖い」とした方が、視聴率も高くなるでしょうが、番組タイトル通り「やりすぎ」な感じがします。

ちなみに、関暁夫という芸人さんを批判する意図はなく、むしろ彼はそこそこのエンターテイナーだと、私は見ています。

また、私は、陰謀論をはじめとする、この界隈の話題で議論するつもりはありません。根拠がないので、否定も肯定もしません。

ただ、「江戸しぐさ」や都市伝説、さまざまなフェイクニュースなど、根拠が乏しい物を、簡単に信じてしまう人が、きっとあなたの想像以上に多い、という私の考えを述べています。

参考サイト
「都市伝説の見抜き方:東大卒業式の式辞を実践してみた:安易に拡散リツイートしないためのネットリテラシー(碓井真史)」

情報発信者の情報リテラシーが低いのはだれのせい?

情報を発信する側にも、ネット上の情報リテラシーが低い人が多く、たとえば、事実であればネットに書き込んでも罪にならないと思い込んでいるはずです。

「表現の自由があれば、何でも書いていい」「俺には情報を発信する権利がある!」みたいな勘違いから、とりあえず書いて世間に晒すことが先行しているようです。

ですが、それらは明確な不法行為です。自分が加害者になる覚悟があって書き込んでいる人は少ないでしょう。

参考サイト
「ネットの誹謗中傷|表現の自由と名誉毀損のどちらが優先される?」

このようなリテラシーの低さが改善されないのは、ブログが流行始め、mixiやツイッターが普及し始めた頃に、そういうブログなどのサービスプロバイダー(運営会社)にも責任があると考えています。

何の知識もない一般人に、入会時に、一定のリテラシーを持っているかどうかを見極めるテストを設けたり、そういう対策が充分にされていませんでした。もちろん、申し訳程度の「利用規約」はありますが。

そういった、ブログサービスの提供会社のほとんどが上場企業であり、短期の業績、数字を追い求めるあまり、そういうことにはお構いなく、だれかが犠牲になっても、それによってアクセスが増え、広告収入が上がれば、それでいい、という無責任な考え方があると、個人的には思います。

もちろん、そういうブログサービスなどのCGM(一般の人が情報を発信するメディア)の良い面を否定するつもりはありません。

ですが、情報の扱い方も教えずに、そういうサービスを利用させると言うことは、適切な使い方を教えずに危険な道具を販売したり、毒があることを教えずに積極的にフグを売っているのと同じです。

たばこの箱にも「吸い過ぎ注意」と書かれていたり、子供向けのアニメ番組などでは、「テレビを近くで見ないように」と警告が出たり、とさまざまな業界で、利用者を守る啓蒙がされていますが、ネット上のCGM提供業者はその努力が明らかに足りません。

そりゃ、情報リテラシーは低レベルなままになってしまうでしょう。勉強する機会がほとんどないのですから。子供たちは学校などでそういうことを習っていますが、特にいい年をした大人たちが、ネットに退職した会社の悪口を書いたり、それを真に受けて取引停止だと騒いだり、恥ずかしい行為を見聞きします。

ほとんどの人は、社会正義を振りかざして書き込みをしますので、「正義は我にあり!」と思い込んでいます。自分が書き込むのは世の中のためだ、と。

書き込まれた側の痛みは、家族や友人がその被害に遭うまでは、きっと想像もできません。なので、くれぐれも自重して欲しいと思います。

「近江商人の商売十訓」はでっちあげ?創作?

ネット上に、まことしやかに出回っているコピペ情報で、私が昔から個人的に、あやしいな、と思うものがあります。

それは、「近江商人の商売十訓」とか「近江商人 商売の十教訓」といわれるものです。

権利者不明のため、それこそ、コピペですが、紹介します。

一、商売は世のため、人のための奉仕にして、利益はその当然の報酬なり

二、店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何

三、売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる

四、資金の少なきを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし

五、無理に売るな、客の好むものも売るな、客のためになるものを売れ

六、良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり

七、紙一枚でも景品はお客を喜ばせばる、つけてあげるもののないとき笑顔を景品にせよ

八、正札を守れ、値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ

九、今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明らかにしないでは、寝につかぬ習慣にせよ

十、商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ

たしかに、経営者ウケする内容だと思います。思わず、得たり賢しと膝を打って感動し、ついついブログなどで、「こんなのがあるよ」と人に教えたくなるような、面白い内容です。

10年以上前に、ネット上で知り、出典を調べようと、Amazonで近江商人に関する書籍をほとんど買い占めたりして、がんばってみましたが、ついに見つかずじまい。

オウンドメディアを「トリプルメディア」という言葉を使って説明するのは、そろそろ止めませんか

この記事を書くにあたって、改めて調べてみましたが、どこを見ても、出典が書かれていない。なのに、それなりに社会的に影響力を持っている人も含め、多くの人が紹介している。そんな現象に違和感を感じています。

あくまでも個人的意見と断っておきますが、近年にだれかが創作したものだという印象を持っています。

出典も定かではないのに、「これがあったから近江商人は発展したんですね」とか「松下幸之助も参考にしていたらしい」などと書かれると、おいおいっ、大丈夫か、と心配になります。

そういうときは、「真偽はわかりませんが」とか「出典がわからないので、だれかの創作かもしれませんが」とか、そういう注意書きをすべきです。

まあ、善意、悪意に関わらず、こうやって事実は作られていくんですね。

私も、少なくとも情報発信者の端くれですから、情報リテラシーについてえらそうなことを語ると、きっとブーメランとなって、自分に返ってきてしまいますが、それを承知で、書いているつもりですので、それこそ、信じるか信じないかはあなた次第です、という逃げ方をしておきます。

※もし、出典をご存知の方がいらっしゃったら、お知らせください

ちなみに、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という「三方よし」という理念は古くから存在したようです。

参考サイト
「近江商人(wikipedia)」

トリプルメディアは古い!オウンドメディアを「トリプルメディア」を使って説明するのは止めた方がいい

この記事のタイトルは、「オウンドメディアを「トリプルメディア」という言葉を使って説明するのは、そろそろ止めませんか」というものです。

その理由を今から書きますね。

まず、トリプルメディアとは、1.ペイドメディア、2.オウンドメディア、3.アーンドメディアのことを指します。

「トリプルメディア」という言葉は、2009年頃にアメリカで定義されたとか、広告朝日によると、「2009年秋、日本アドバタイザーズ協会のWeb広告研究会が提唱した、現在のメディア環境およびメディア戦略をあらわすコンセプトだ」とか、それこそ、何を信じていいやら、わかりません。

参考記事
「トリプルメディア(朝日新聞社メディアビジネス局 広告朝日)」

それでも、トリプルメディアとは、およそこんなことであろう、ということをまとめてみると、こうなります。

インターネット上には、次の3種類のメディアしかなくて、すべてのものは、いずれかに分類されます。

  1. ペイドメディア
    paid=お金を払って「買われた」メディア。お金で都合良くコントロールできるメディアのことで、広告枠を設けているサイトやそこに掲載された記事のこと。
  2. オウンドメディア
    owned=(その企業などによって)「所有された」メディア。自社で都合良くコントロールできるメディア。自社のホームページやランディングページ、ブログ、SNS、メルマガなどのこと。
  3. アーンドメディア
    earned =信頼などを「得た」メディア。個人のブログやSNSなど、お金を払って都合良くコントロールできないメディアのこと。

いかがでしょうか。トリプルメディアという分け方自体が、古いと思いませんか。

周囲の人々に少しこの話をしてみたところ、もっとわかりやすく、「広告メディア」「自社メディア」「一般メディア」などと名付けて欲しかった、特に「アーンドメディア」なんかは、しっくりこないなぁ、という感想を抱く人が多いようでした。

ですが、ほとんどの「オウンドメディアの説明」には、厳密な言葉の由来から入っているものが多く、そこでは「トリプルメディアというのがありまして……」と紹介されていますので、いまいち、わかりにくいことになっているような気がします。

そもそも、「オウンドメディア」という呼び方自体がどうかと思っているくらいです。「自社メディア」でいいと思います。

ちなみに当社では、クライアントには、単純にわかりやすく、このような説明をしています。

  1. 広義(広い意味)のオウンドメディア

    自社のホームページ、採用ページ、ブログ、SNS、メルマガなどすべてのこと。
    とりあえず、自社で所有している情報発信手段といえるものすべて。

  2. 狭義(狭い意味)のオウンドメディア

    自社のホームページ以外の、いかにもメディアっぽい、ニュースサイトのように記事を並べたような情報提供用のサイトのこと。

どうでしょうか。

少なくとも、「トリプルメディア」とは、というフレーズから入ると興味を失われているかもしれない、と疑ってみることは有効かもしれません。

しかし、オウンドメディアを説明するときに、「トリプルメディア」の説明から入ることは、「キツネ」を説明するときに、「ほ乳類の一種」と説明することと同じようなもので、不適切なことではないことも確かです。

なお、私はこちらの記事で、狭義のオウンドメディアの意味を、「オウンドメディアとは、ネット上に作った自社所有のメディア型の情報提供用WEBサイトのこと」だと説明しています。

参考記事
「オウンドメディアとは何か(オウンドメディアの全体像、効果、分類、構築法から予算まで)」
【再入門】オウンドメディアとは?オウンドメディアの意味をまとめて解説

冒頭で、情報リテラシーの低さから、間違った情報、都市伝説、フェイクニュースなどが疑いなく流布されてしまうことについて取り上げました。

繰り返しになりますが、情報発信者は、情報を発信する前に、「一度立ち止まって疑うクセ」を身につけて欲しいと思います。

これは、「オウンドメディア」を、何の疑いもなく、決まりごとのように「トリプルメディア」という言葉を使って説明しているサイトがあまりにも多いことに違和感を持った私の独り言のようなものであり、提言と言うほどのものではありません。

少しでも、オウンドメディア制作業界が隆盛し、適切な情報社会になっていけばいいなと思って書いている次第です。

参考記事
「オウンドメディアの記事に書かない方がいい5つのこと」

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