オウンドメディア制作を依頼する側の責任

オウンドメディア制作を依頼する側の責任

オウンドメディア制作を社外の制作会社に依頼する側が、「私たちはまるで素人だからプロに任せたい」という気持ちになることはよくあり、そしてそれに甘えてしまう受注側(制作会社)もたくさんあります。そうした”もたれ合い”のもとにオウンドメディアを制作しても、それなりの結果しか出ないことでしょう。今回は、依頼者側・発注者側の責任ということについて考えてみたいと思います。

オウンドメディア制作業界のレベルの低さを嘆く

オウンドメディア制作を依頼する側の責任

オウンドメディア業界には、まだまともな制作会社が少ないというのが私の正直な実感です。コンテンツマーケティングという概念すら、浸透していませんから、これは仕方がないことだと思います。

ですが、経営者の多くは、今日も、インターネットを活用したマーケティング、集客手法に新たな活路を見い出すべく、けっして安いとは言えない制作料金を支払っています。

そして、その勝率はけっして高いとは言えません。その切なる期待がもろくも打ち砕かれた暁には、

「売り上げがないのも覚悟していた」
「採算が合わないのは最初からわかっていた」

などという謎の台詞を心の中でつぶやき、自分を納得させようとします。しかし、

「ネット集客に期待したが、やはり考えが甘かったか」
「プロのやることに口出ししてはいけないと思っていたが、やはり口出しすればよかった」

というような後悔は残ります。

また、元から「オウンドメディアの成果を評価する基準」を持っていないため、

「ホームページはそれなりに気に入っているが、これで正解なのかわからない」
「成功しているのか失敗しているのか、どう評価すればいいのかわからない」

というケースも多く見られます。

実際に、オウンドメディア制作を中心とするコンテンツマーケティングの取り組みが失敗に陥ってしまう罠は至るところにあり、ことごとく、その罠にはまっている企業が多く存在します。

ただし、そんな罠にはまらずに確実に成果を上げ続けている企業(しかも再現性を持って何度でも)や、しっかりと支援できる制作会社が存在しているのも確かです。

オウンドメディアを活用し、特にマーケティングやブランディングの面で大きな成果を手にするのは、さほど難しくありません。

なのに、ほとんどの企業はなぜ失敗し、一部の企業だけが大成功しているのでしょうか。オウンドメディアの制作を依頼したり、担当する人が、ぜひとも知っておきたい、成功と失敗の差が生まれる原因は、どこにあるのでしょうか。

それがわかれば、たいてい、どのような業種、業態であっても、オウンドメディアを活用して業績を大きく進展させることは可能なのです。

今回は、こんな「嘆き」がテーマですので、やや厳しい言説が多くなりますが、よろしければ、おつきあいください。

なぜ、ほとんどのオウンドメディアに期待したほどの成果が出ないのか

これは、産業として「オウンドメディア制作」ひいては「コンテンツマーケティング」という分野が成熟しきっていないために発生する問題とも言えますが、そもそも、「まともなオウンドメディア制作会社」とは何か、明確に説明できる人が少ないことが最大の原因のひとつです。

たとえば、こんな曖昧な基準でオウンドメディア制作会社を選んでいるケースはたいてい失敗するでしょう。

  • 信頼して任せておける
  • 実績が豊富である
  • 最新の情報など、よく勉強している
  • 友人から紹介された

このように、客観的に見たときに決め手にはならない、不確実で不十分な基準でオウンドメディア制作会社を選んでいる人が多いのが実情です。つまり、かなり「テキトー」に制作会社を選んでしまっているのです。

やや辛辣な言い方になりますが、こういったオウンドメディア制作を依頼する側の企業の経営者やインターネット担当者などの「依頼者・発注者のレベルの低さ」が、いつまでも多くのオウンドメディア制作プロジェクトの失敗が生み出され続ける原因だと言えるかもしれません。

「そこをなんとかリードしてプロジェクトを成功させるのが、プロであり専門家であるオウンドメディア制作会社の仕事だろう!」

と主張したくなる向きも多いと思いますが、他人のせいにしている以上、状況は変わりません。周囲と同じようなことをやっていては、周囲と同じような結果からは抜け出せません。まさに失敗するべくして失敗している、と言えば伝わるでしょうか。

本来、外部の制作会社に依頼するということは、自社の重要な経営資産の一部をゆだねる行為であり、重要な経営上の決定事項なのです。調達・発注管理、リスク管理、コストコントロールを学んでいない人にとってはいまいちピンとこないかもしれませんが、このような経営品質の観点からも本来十分な配慮が行われる必要性があります。

ただ、このあたりの話になると小難しくなりますし、まずは、単なる「広告費の一部」として予算を割り振っておきながら、その上で、本格的に会社の事業として軌道に乗った頃に改めて上述のような視点を勉強し直し、品質管理を強化していくことが現実的といえるでしょう。つまり、「難しいことは後から考える」という姿勢も悪くないかもしれない、ということです。

ですから、当社のクライアントには、経営者と直接面談させていただくこと、そして、できるだけ経営者が担当窓口になっていただくことをお願いしています。

オウンドメディア制作会社は本当はさぼっているのか

オウンドメディア制作を依頼する側の責任

いずれにしても、オウンドメディア制作会社は、この現状をありがたく受け止め、図らずも利用し、甘えてしまっているのが現状だと言えるかもしれません。

つまり、依頼者のレベルが低ければ、手を抜いてもばれないし、効果が出なくても、「当社はGoogleではありませんので仕方がないです」「SEOとはそんなもんです」というような言い訳が通用すると考えてしまっているのです。

本当かどうか、事実を検証していませんが、「日本人のコーヒーに対する味覚レベルは世界的に見てもかなり低レベルなので、日本人には低品質な豆をそこそこのいい値段で売っておけばいい。本当に美味しいコーヒー豆はごく少量の例外を除いて日本には流通させる必要はない」という話を聞いたことがあります。つまりは、世界のコーヒー豆業界からなめられている、もしくはそういう時代があった、ということらしいのです。

これと同じように、「日本の経営者やネット担当者など、オウンドメディア制作の依頼者・発注者のレベルが低い」ことによって、制作会社からなめられているとも言えるでしょう。

だからこそ、もし、オウンドメディアを活用して、企業のマーケティング活動を促進しようと考えるのであれば、もっと依頼者・発注者のレベルを上げていかなければならないのです。

オウンドメディアは非常に可能性にあふれた、役に立つ道具です。この場合、「可能性にあふれた」とは、抜群の費用対効果をたたき出す確率が、他の主なマーケティング施策と比べて圧倒的に高いという事実があるということです。ただちに、オウンドメディアの可能性の無駄遣いを止めるべきです。

ほとんど何の勉強もしないまま、曖昧な基準で、無防備なままで、とりあえずコンペを実施してみたり、複数のオウンドメディア制作会社から相見積もりを取ってみる、というようなレベルでしか制作会社を選べないようであれば、偶然優れたホームページ制作会社に出会ったライバル企業、もしくは、たまたまネットでやったことが大当たりした幸運なライバル企業に大きな差をつけられてしまう可能性があります。

よく「消費者が企業や産業を育てる」と言います。クライアント(要求側、つまり依頼者、発注者)のレベルが上がらない限り、オウンドメディア制作会社のレベルは上がりません。

不景気といえども、さまざまな要因があって、日本の経済はなんとか持ちこたえています。明るい材料も転がっています。また、インターネット市場全体がまだまだ成長を遂げている段階ですので、まだまだどのような規模の会社にも、とてつもない成果を得る可能性が大いにあります。コンテンツマーケティングの可能性を過小評価するにはまだ早いといえるでしょう。

オウンドメディア制作の依頼者・発注者の意識不足、そして知識不足が、今日も、実力のないオウンドメディア制作会社にも仕事が回ってきて、そのような実力であっても生き残れているという事態を招いているのです。

なにも、オウンドメディア制作会社を否定しているわけではありません。紙媒体全盛の時代から30年以上、編集や広告の業界の一線で仕事をしてきた者として、企業のコンテンツマーケティングを支援する業界全体がますます発展するための提言なのです。

オウンドメディア制作会社とオウンドメディアデザイン会社の違い

「オウンドメディアを制作できる会社」といっても、単に、デザインを中心として、とりあえず機能するオウンドメディアを構築できるだけの会社と、効果的、かつ効率的にコンテンツマーケティングを実行するためのオウンドメディアを制作できる会社は、まったく違うと言えます。

これを理解するためには、「WEB制作会社」と「WEBデザイン会社」の違いを理解する必要があります。この違いを明確に理解することで、よりレベルの高い依頼者へとレベルアップしていくことができますので、ここに解説します。

まず、これらの違いについては、ざっくりとこのような説明ができます。

「WEB制作会社」 … WEBサイトの制作に必要な「リサーチ、戦略策定、コンテンツ設計、コピーライティング、デザイン、コーディング、実装(公開作業)」全般をそつなく手がける会社。

「WEBデザイン会社」 … 上記のうち、「デザイン、コーディング、実装(公開作業)」を専門に手がける会社。

つまり、WEBデザイン会社の方が、WEB制作会社よりも、得意分野が限られていると理解してください。業務範囲が狭いイメージです。

しかし、特に呼び方のルールがないためか、この定義自体を曖昧に理解したまま「当社はWEB制作会社です」と名乗ってみたり、「うちの息子がWEBデザインやってるから、(それなりのサイトを)安く作ってくれるよ」という無責任なプレッシャーを担当者にかけてみたり、と好き放題。まさにWEBサイト制作会社と名乗ったもの勝ちの様相を呈しています。

「オウンドメディア制作会社」と「オウンドメディアデザイン会社」の違いも同じです。

名乗るのは自由ですので、単にデザインレベルの仕事ができるだけなのか、それとも効果や効率に配慮した設計もできるような制作会社なのか、発注する側は、発注先の制作会社を見極める基本として、まずはじめにこれくらいの違いは理解しておいてください。

日本のオウンドメディア制作者のレベルが総じて上がってこない4つの理由

1.オウンドメディア制作者の地位が低い

日本においてオウンドメディア制作者の地位は相当に低いと感じられます。その原因は、教育システムが足りていないこと、市場が成熟していないことなども考えられますが、何よりも彼ら自身に起因する問題、つまり「実力がある人とない人が混在している」ことが最大の原因だと言えるでしょう。

そもそもオウンドメディア制作者とは、もっとリスペクトされるべき存在です。WEBサイト制作の高度な専門的技術もしくは、知識を持った人で、マーケティングの知識も持っていて、まさに「コンテンツの力で問題を解決して世の中をよくする」ということができてしまえる人々であるからです。

2.オウンドメディア制作者の興味の対象が狭い

インターネット上の技術や最新トレンドに関しては、そこそこの知見を持ち合わせているようなオウンドメディア制作者であっても、マーケティングフレームワークに沿った戦略策定やプロモーション施策、また、そもそもサイト制作の成否を左右する重要な要素であり、人を動かすのに必要なコピーライティングの能力などについては、「まぁ、これまでもなんとなくやってきましたので、これからもこれでいきます」というレベルのスキルやノウハウしか持ち合わせていない人が多いのが現実です。

ネット以外の要素の重要性は感覚的には理解していても、日頃の仕事で忙しくカバーできていない(彼らがよく使う言葉でいうと「キャッチアップできていない」)ということなのです。

3.だれでもオウンドメディア制作者になれてしまう

特に資格や認定制度もありませんので、誰でも「私はオウンドメディア制作者です!」と名乗ることができてしまいます。誰の許可も必要ありません。

フリーランサー(個人事業主)やホームページ制作会社に多いのは、この延長線上の人たちです。コンテンツについて、その本質から、人々に与える喜び、コンテンツやデザインによる問題解決まで、まともに学習し、研究してきたような本当の意味での仕事人と、「フォトショップ」「イラストレーター」といったグラフィック系のソフトの使い方を身につけたので、オウンドメディアの制作なら任せてください、というようなデザイナーまで、ひとくくりに「オウンドメディア制作者」と言えてしまうことに問題があるでしょう。

4.そんなレベルのオウンドメディア制作者でも偶然ヒットを打てる

これは、とりあえず打席に立ってバットを振っていたら偶然ボールが内野手の間を抜けてシングルヒットになった、というようなものです。特に、地方ビジネスなどでは、まだまだ競合が弱く、教科書レベルの基本的な施策を積み重ねることで成果が出たりします。

そして、その数少ない実績を金科玉条のごとく掲げて、「当社の実績です!」と言う。重要なのは、その会社が過去に何をやってきたか、ということではなく、「その会社に何を期待して、どのように使いこなして成果を出せるか」なのです。

ちなみに、フォローになりますが、たとえば、デザイン部分だけを専門的に手がける優れたデザイン会社が存在していることも確かです。

少し専門的な用語になりますが、インフォメーションアーキテクチャ(情報設計)やアートディレクション、UX設計(ユーザー経験の設計)など、デザインと言っても、幅広い意味を持つことがありますが、それらを複数のクリエイターが専門的に分担するようなスタイルで仕事をしている制作会社もあります。

また、ホームページ制作会社と名乗っているところでも、マーケティング部分の知識が豊富で、実践経験も実績もある会社も、あるにはあります。

ですが、まだまだ少ない、と言っているのです。ニーズ、この場合はオウンドメディア制作依頼数に対して、圧倒的に、ちゃんとできる制作者が足りません。

それは、実際に作られてしまった後のオウンドメディアを眺めていても、わかることです。中小企業や店舗は言うに及ばず、大企業や上場企業のWEBサイトでさえ、プロの目から見ても戦略が伝わってこない「とりあえずオウンドメディア」が数多く見られます。

「鶏が先か卵が先か」という話になりますが、オウンドメディア制作の依頼者である企業側、店舗側のレベルが低いため、もしくは、オウンドメディア制作会社が、素人を相手に、当てずっぽうでそれらしく見える「とりあえずオウンドメディア」を納品し続けている、そして、それが許され続けていることが、オウンドメディア制作業界のレベルを低くしている大きな原因と考えられるのです。

アメリカにはもはやWEB制作会社はない?

参考までに、アメリカとの比較によって、WEBサイト制作会社の本質を理解してみましょう。

さまざまなレポートや多くの人々の報告によると、日本と違ってアメリカでは、純粋な制作会社はどんどん減っているようです。単なる制作会社ではやっていけず、多くが業務範囲の拡大や業態変化を余儀なくされています。

その理由は、おもに2つあります。

1つ目は、英語圏すべてが市場になってしまうため、シンプルなオウンドメディアの構築、ビジュアルのデザインだけなら、人的コストが安い海外のクリエイターに発注すればいいからという理由です。

2つ目は、やはりデザインだけではクライアントの要望に応えきれないからです。マーケティングのあらゆる面で平均的に日本よりも先を行っているアメリカでは、たとえば、マーケティングフレームワークに則った戦略的かつ効果的なインターネット活用施策が当たり前になってきており、当然、「デザインの部分しか自信を持ってできない」というような企業は必要とされなくなってくるでしょう。

「オウンドメディア制作会社」の定義として、前述の通り「オウンドメディアの制作に必要な「リサーチ、戦略策定、コンテンツ設計、コピーライティング、記事作成、デザイン、コーディング、実装(公開作業)」全般をそつなく手がける会社」としましたが、これに加えて、マーケティング施策の立案と実行支援、その中でも特にPR戦略の立案と実行、広告代理業、自社での独自コンテンツの運用などによる集客代行業などへと発展していくことが期待されています。

この論点については、下記の4つの記事がわかりやすく参考になりますので、紹介します。

参考記事

上記ページのみなさんの意見はそれぞれ若干の違いはありますが、いずれ日本もそのようになる、つまり、学ばないオウンドメディア制作会社は淘汰されていく可能性が高いことを示唆しています。

となれば、まともなオウンドメディア制作会社だけが残るので、レベルの低い、不勉強な依頼者が発注しても大きな成果を得られる確率は高くなるのでしょうか。

その答えは、きっとNOです。学ばないオウンドメディアの依頼者・発注者は、ろくな成果を得られないまま、学ばないオウンドメディア制作会社と同じく、インターネット市場の隅っこに追いやられるでしょう。「ユーザーを中心に据えたWEBサイト制作に必要な当たり前の知識」を持つ者だけが、確実に、費用対効果を実感できる、高い成果を得られるでしょう。

オウンドメディア制作の依頼側の責任とは

オウンドメディア制作を依頼する側の責任

権利には義務もしくは責任が伴う、ということは原理原則です。

オウンドメディア制作に携わっていて感じるのは、依頼者側・発注者側が制作サイドに甘えきっているケースがほとんどだということです。

「私たちはまるで素人だからプロに任せたい」という気持ちもわかりますが、今まで述べてきたとおり、受注する側のオウンドメディア制作会社が、そもそも「何をやっていいかわかっていない素人を相手にすることに甘えている」可能性が高いのですから、結果は推して知るべし。それなりの「とりあえずオウンドメディア」ができあがるのです。

オウンドメディアの制作を依頼する側、発注者は、その事実を受け入れ、「ああ、うまく行く/行かないという結果の責任は自分にあるのだ」ということを再確認してください。

長々と書きましたが、言いたいことはシンプルにそういうことです。どうか、御社がよりよりオウンドメディア制作会社に出会えますように。

オウンドメディア制作業界、コンテンツマーケティング業界への愛を込めて。

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